レポート by なんたまサポーター 徳竹功
写真 by 映画祭事務局
大宮地区、まるまるひがしにほん2F会場では、鈴木彩玉さんの「彩遊戯の落チ語リ」が上演されました。
「落チ語リ」とは何でしょうか。鈴木さん曰く、「所かまわず舞台をつくり、日本の遠い記憶で遊ぶクラフト演劇」とのこと。歴史上の人物や物事に焦点を当て、史実を元に創作した、落語や講談とは似て非なる新ジャンル話芸です。
一公演目の演目は『漫画と呼ばせた男』。さいたま市とも深いゆかりがあり、日本初の職業漫画家・北沢楽天誕生の物語です。
鈴木さんは、何人もの登場人物を声色や感情の切替えで小気味良く語り紡いでいきます。白井黒子さんが奏でるBGMや小道具の効果で、舞台には、楽天が過ごした明治時代後半の空間が蘇ったよう。会場のお客様もあっという間にその世界観に引き込まれていった様子でした。
二公演目は『道化方徒桜』。東海道四谷怪談で知られる鶴屋南北が、そう名乗る前の若かりし狂言作者だった頃の物語。
こちらも登場人物たちが見事に演じ分けられ、知られざる鶴屋南北の人生が明らかに——。噺の最後は「これがのちの四代目鶴屋南北である」と落チ語リ。そして、桜に見立てた紙吹雪がひらひらと舞い、噺の余韻が観客それぞれの胸に去来します。
各演目後は、鈴木さんのトークショー。
こうした公演を始めたきっかけや創作秘話、今注目している埼玉のスポット(なんと!さきたま史跡だそうです)などを語ってくれました。舞台でのパワフルな語りとは一変、やさしく穏やかに語る彩玉さん。トークショーは終始、和やかな雰囲気に満ちていました。
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