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【コンペレポート】#1 第2回SAITAMAなんとか映画祭(2022)コンペティション グランプリは、芦原健介監督『マニブスの種』!


レポート by なんたまサポーター 飯山満(代打)

写真 by 映画祭公式カメラマン 江頭幸宏


「やった—!!」

ホールのどよめきを切り裂く歓喜の雄たけび。プレゼンターの三島有紀子監督が迎えるステージに前のめりに駆け上がった今年のグランプリ・ウィナーは、『マニブスの種』の芦原健介監督(42)である。壇上でひしとハグを交わした2人は、俳優としても活躍する芦原監督が三島監督作品「Red」に俳優部として出演していたという縁(主演女優の小島綾乃も)であり、旧三島組の交歓となった。


「(芦原監督の受賞は)決して「癒着」ではないので…」というジョークも飛び出すほど、賞状を手渡す三島監督も我がことのようにうれしそう。審査時間が予定より随分長くなり「紛糾」が想像されたグランプリ選出だったが、「満場一致で決まりました」と三島監督から報告があった。



芦原監督は、「最近イヤなことばかり世の中で起こっている中(コロナ禍や戦争、世界情勢など)、映画を作れるという喜びをかみしめながらこれからも映画を作っていきたい」と受賞の弁を発しました。


(『マニブスの種』は、差出人不明で植物の種が送られてくるという最近実際起こっている奇妙な事件を下敷きにしているようで、他にも時事ネタや社会ネタをそこかしこに練りこんでいる「社会派」的な目線が、本作を単なるホラーではなく、厚みのあるゾっとするような作品に引き上げているのかもしれない。因みに「マニブス」とはラテン語では「手で」とか「手に手を取って」とかいう意味だ)


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『マニブスの種』ってこんな作品(多少ネタバレあり)

〔公式発表ストーリーより〕


「ある日、ポストに届いた差出人不明の封筒。開けてみるとそこには植物の種が入っていた。その種を育ててみると、まるで"人間の手"のようなものが生えてきたのだった。」


怖い?カワ(・∀・)イイ!!?でもやっぱりコワい?

主人公は、「マニブス」と名付けた“人間の手”のようなものを、やさしく話しかけながらペットとして秘密で飼うようになるのだが、「マニブス」は次第に答えるようになり・・・最初は不気味以外の何物でもなかった「マニブス」が、だんだん可愛く見えるようになってくるのだが、最後にはまたゾっとさせる・・・現代に蘇った「リトルショップ・オブ・ホラーズ」のような作品。

そういえば、オリジナルの「リトルショップ・オブ・ホラーズ」はインディーズ映画の神様

ロジャー・コーマン監督による不朽の傑作だ。(1960年、主演ジャック・ニコルソン)

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賞金20万円(副賞は44園長様からの「宮崎県串間のよかむん詰め合わせ」)の使途として、三島監督から本作品を作り直せば?と勧められ、頭を掻いていた芦原監督だったが、(賞金はリメイク予算にはほど遠いかもしれないが)、もし長編化などバージョンアップ版の制作が叶うのであれば、来年・再来年の「なんとか」のレッドカーペットから新しい傑作として世界に発表できたらなと夢想する次第だ。


審査員による総評としては、「ソワレ」の外山文治監督からは「どの作品も似ていないオリジナリティあふれ、監督が普段考えていることを素直に表現している甲乙つけがたい良作ばかり。残念な世界情勢を忘れて没入できる映画体験を久々に感じることができた」とコメントがあり、シネマアナリストのまつかわゆま先生からは、「自由に映画を作り、自由に映画が見られること…それが大切なんだ。それが失われることが、「戦争」なんだということを思いながらのスクリーニングだった。10作品総評としては、監督と俳優部の高めあいが垣間見られる作品が多く、楽しむことができた。作り手の皆さんには、これからも引き続き面白い映画を作っていく努力をお願いし、見る側としてはできれば作品の本来の力を発揮する劇場の大きなスクリーンで、楽しんでいきたいと思う」とコメントがあった。



三島有紀子監督は「人間ドラマであったり、コメディであったり、はたまたホラーであったり、どんなジャンルの作品も、監督の『まなざし』が見えた作品が沢山あった。どういうふうに現在のこの世の中を見ているのか、人間をどういう風に見ているのかということが、きちんと届く作品になっていたのを感じることができ、非常に幸せな時間を貰った。帰り途で、例えば『マニブスの種』でいうと、我々はいったい何に操作されるんだろう?なんていうことも含めて考えながら帰れるような中身がつまった作品が多かった。この時世で映画を作ることができ、映画を楽しむことができることに感謝し、これからもその日が続きますように。」と締めた。


コンペティションの最後に栗原審査委員長は、「10本どれも良いんだけど、どれにしようかね」と皆が頭を悩ませた審査会での様子が報告され、コロナ下でなんとか産声を上げ、第2回目開催にこぎつけて良質な作品が多数応募され、第2回SAITAMAなんとか映画祭コンペティションが成功したことに対して代表して謝意が表明された。




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